「誰だって 私だって やってみていい」というコンセプトのもと、4月18日(日)に開催された「新しい働き方フェス2021」。2019年に続いて第2回目となる今回は、オンラインイベントとなりました。
プログラムは、クロストークなどのメインチャンネルと4つのワークショップで構成。オンラインで無料ということもあり、大盛況でした。
今回はその中から、ワークショップ「“LivingAnywhere”なライフスタイルを実現する」をまとめてお届けします。
新しい働き方を実践する3名のゲストは、どのような「一歩目」を踏み出したのでしょうか。
場所だけでなく、さまざまな縛りから開放されたゲストの言葉は、自分らしい生き方、自分らしい働き方を模索している人へのエールに満ちています。
一歩目を踏み出せずにいる人、一歩目を踏み出したばかりの人におすすめです。
————————————————
【登壇者プロフィール】
司会:ハマ
新しい働き方LAB静岡コミュニティマネージャー。農的な暮らしを実現すべく、家族とともに田舎へUターン。”半農半フリーランス”という肩書で自給農 / 取材ライター / 講師 / ゲストハウス経営 / 地域NPOなど、スキルを掛け合わせたライフスタイルを実践中。
ゲスト①エリナ
株式会社しもズブ代表。エニウェア女子。1996年、埼玉県生まれ。大学卒業後フリーランスに。(デザイン x カメラマン)2020年7月から静岡県下田市を拠点にしつつエニウェアし始める。2020年10月に株式会社しもズブを設立。ただ仕事をするだけの場所、ただ観光するだけの場所ではなく、下田を「新しい居場所」にするために、しもズブ民を増やすために尽力する。株式会社しもズブでは主に人材コーディネートの仕事を展開。
ゲスト②ぽかべ
株式会社奇祭代表。EROLAB. 主宰のセックスカウンセラー/ブロガー。#人類みな変人が座右の銘。茨城県産30歳。東京⇔山梨で二拠点生活。いじめられっこ。いい大学入っていい会社入ろう(エリート街道に行こうとする)。会社員3年目の直前に抑うつで休職 → 辞職。ドサクサで独立し3年目、4月に法人化。田舎フリーランス養成講座#いなフリでキャリアメンターを担当。
ゲスト③タカ(畠 隆裕)
ライター x バーテンダー x 多拠点生活。旅するバーテンライター。1995年東京生まれの26歳(顔が濃いので東京人に思われない)。給料だけで選んだ会社で抑うつ。去年10月末に退社。未経験のまま11月にフリーライターへ転身。時間、場所、人にとらわれない自由な働き方が好きになり満員電車には乗れなくなった。現在はライターをやりながら週末バーテンダー。LAC八ヶ岳によく出没。
【LivingAnywhere Commons】について
LivingAnywhere Commonsは、「LivingAnywhere=どこでも住める」という単語のとおり、場所にとらわれないという考え方を通じて自分らしくをもっと自由に実現していこうというビジョンを掲げているコミュニティ。
「Commons=共有地」とあるように、LACを通じていろんな人が出会い、コミュニケーションをとって新たなものをともに作り上げていくという共創という考え方が特徴。
拠点はすべてWi-Fiあり、宿泊施設付き。泊まりながら仕事ができる。現在、全国に13拠点。今年はさらに複数の拠点がオープンする予定。
料金プランは定額払い、1回利用、回数券払いから選べる。回数券払いのお得なキャンペーンも実施中。
また、LACではオンラインコミュニティをスタート。コミュニケーションはSlackを利用。オンラインのメンバー登録は無料。
目次
トークテーマ:「わたしの一歩目」
今回のフェスのテーマ「誰だって 私だって やってみていい」に通ずる、「私の一歩目」について3名のゲストが語りました。
それぞれ異なる経験、きっかけから一歩目を踏み出したようです。共通しているのは、現在、充実した日々を送っていること。
ゲストの言葉は一歩目を踏み出せずにいる人のきっかけとなるかもしれません。
エリナさんの場合 ー周囲に背中を押され、会社設立ー
エリナさんは埼玉県の出身です。23年間すごした埼玉から、2020年7月に静岡県下田市へ移りました。
静岡県の伊豆半島南端にある下田市には、LivingAnywhere Commons(以下、LAC)の拠点のひとつ「LAC伊豆下田」があります。
エリナさんはLAC伊豆下田を拠点に活動。2020年10月、株式会社しもズブを設立しました。現在は、下田市の人材コーディネイトを行っています。
オンラインイベントから下田へ
エリナ もともとは、去年(2020年)の自粛期間中に下田の建築会社が開いたオンラインイベントに参加したことがきっかけです。以前から、クリエイターが自由に空き家をリノベーションするイベントをやってみたいと思っていました。でもまだ十分な財力がなく、あと3~4年後くらいかなと。
そのことをオンラインイベントで話したら、「この前買った空き家があるから、そこでやってみなよ」と言われました。それで「まずは見に行こう」とLAC伊豆下田に2週間滞在したのが、LACを知ったきっかけです。
——————————————–
エリナさんは今に至るまで、いくつかのきっかけを経験しています。
まず、大学在学中のアメリカ留学。短期間の語学留学でしたが、サウジアラビア人の同級生の行動から「自分の意志を口に出さなくては」と感じたそうです。
次に、パラリンピックのスノーボード金メダリスト、成田緑夢(ぐりむ)選手の1日秘書&ドライバーをしたこと。成田選手から「スキルを身につけるとか、自分自身が価値あるコンテンツとなることが大切」と言われ、本当にやりたいことを考え始めました。
そして、新卒でフリーランスとなり、オンラインイベントをきっかけに下田を訪れたのです。
個人事業主から会社設立へ
エリナ LAC伊豆下田に2週間住んでみて、下田の人たちやLACに来る人たちがすごくおもしろくて刺激的で、下田を好きになりました。そうして拠点を下田に移したのですが、会社を起こそうとは考えていませんでした。地方を創生しようとも思ってなかったです。
下田市の企画で、地域課題解決プログラムに参加しました。下田の課題とその課題をどういう事業で解決していくか考えるというものです。
下田は夏の観光地なので、夏にガッと稼いで冬は休む。冬は全然観光客が来ないんです。
じゃあ、冬にも人が来るようにするにはどうすればいいのかと、プログラムの5日間、考え続けました。それで出た答えが「観光の定義を”人”にする」です。
下田をズブズブに好きになる人を増やす、下田を人が帰ってくる場所にしようという方向で事業を行おうという結論になりました。
周りから「事業をやるだけでなく、会社を起こすといいよ」と言われて、「んー、起こしちゃおうか!」みたいな感じで会社を設立しました。(笑)
それが私にとっては一歩目だったのかなぁって思います。本当に考えてもなかったことでしたが、いろんな人に背中を押されて一歩目を踏み出したというか、前に出ちゃったみたいな感じです。
——————————————–
エリナさんの場合、きっかけが次のきっかけへとつながっているように見えます。そしてきっかけの裏には、周囲の人たちとの出会い、影響がありました。
一見、ただ運がいいだけのようにも思えます。しかし、きっかけごとに自分で考え、人とのつながりを大切にし、自分で道を選んできたからこそチャンスが訪れているのではないでしょうか。
ぽかべさんの場合 ー他人を知って自分を知り、自分らしい人生へー
ぽかべさんは、いわゆるWebフリーランスやノマドワーカーと呼ばれる、Web中心の個人事業主です。メインは性の相談を受けるセックスカウンセラー。
座右の銘である「#人類みな変人」と「自分の形に正直になろう」を軸に、幅広く活動しています。
今年4月、個人事業主3年目にして法人化し、株式会社奇祭の代表となりました。
東京と山梨の2拠点を中心に、自由な ”LivingAnywhere” ライフを送っています。
傷つかずに生きるために客観的な評価で戦う
ぽかべ 私、今年30歳なんですが、26歳とか27歳までめちゃくちゃ人目を気にする性格でした。自分の頭で考えて、責任持って行動するみたいなことをほとんどして来なかったんじゃないかと思います。そのくらい、自分らしく生きることはできていませんでした。
わーっと言っちゃうタイプということもあり、小中高とあまり人間関係がうまくいかなかったんです。いじめられた経験もあります。
その中で「どうしたら傷つかずに生きていけるんだろう」と考えました。それで、客観的な評価で戦うしかない、自分の市場価値を高めることに努力の矛先を向けたんです。
一浪して早稲田大学に入学し、倍率の高い会社に就職しました。
でも、自分の適性を考えてなくて、仕事内容も自分に合ってるとは言い難かったです。
——————————————–
いい学校に行き、いい会社に入るしかないと考え、突っ走ったぽかべさん。「すごいね」と言われるような会社に入ったものの、「自分の人生、これでいいのかな」と思っていたそうです。
終電まで仕事をし、帰りのメトロに揺られながらR25(インフルエンサーのインタビューを掲載するメディア)の記事を読みながら「自分らしく表現している人や仕事をしている人に、いつになったら自分はなれるんだろう」と考えていました。
自分もあっち側へ行きたい、でも疲れすぎてできない。そんな2年間だったそうです。
自分で判断し、誰のせいにすることなく楽しい人生を
ぽかべ 結局、抑うつになって自分と向き合わざるを得なくなりました。
どうしたいんだろうって考えたとき、小学校のときに交換ノートを書くことが好きだったと思い出しました。
文章で自分を表現することが好きだったんだと思います。
その頃、本でブログを書くことを職業にしている人がいることを知ったんです。じゃあ、私も休職してて時間あるからブログを作って書いてみようと始めました。
そうしたら「おもしろい」って言ってくれる人や、おしえてくれる人が現れたり、講師やイベントに誘われたりしたんです。それで思い切って独立しました。
独立後は、チャレンジしてやめて、チャレンジしてやめての繰り返し。チャレンジの場数は踏みましたが、基準が人から評価されるためということもあり、頭打ちになりました。
2019~20年は、自分に本当に向いてることはなんだろうと超悩んでたんです。
ノートに向かって自分の好きなことを書こうとしたけれど、言葉が出てこなくて書けませんでした。
それで一対一でインタビューして、人の考え方や価値観を理解しようと思ったんです。話を聞いて、その人と自分との違いを見つけ、「じゃあ、私はどうなんだろう」と考えました。
他人と話すことでその人を知り、自分を知る。机に向かって自己分析するのが苦手な人は試してみるといいかもしれません。
今は飛び回って話を聞くのは難しいですが、LACならオンラインコミュニティがあるので話を聞いてみたいという人を見つけやすいと思います。
思いを持って活動している人も多いので、そういう人と話ができたらいい一歩目になるんじゃないでしょうか。
——————————————–
ぽかべさんの個人事業主時代の学びは、「嘘なく、誰のせいにすることなく、自分の頭や五感で判断すれば人生楽しくなる」というもの。
Webライターを不安定だと言う人がいたとしても、自分にとっては安定の仕事だと言い切ります。
他人軸から自分軸へ。たくさん悩んで、行動したからこそ、揺るがない軸が手に入ったのかもしれません。
タカさんの場合ー固定観念に縛られずいきいきと働くー
ライター兼バーテンダーとして活動するタカさん。
以前は会社員をしていましたが、会社員生活が合わず、抑うつ状態になってしまいました。
退職後、フリーライターに転身。
昨年12月にLAC伊豆下田で開催された、2週間のフリーランス合宿に参加したことをきっかけに多拠点生活を送っています。
本業はライター、週末はバーテンダー。LAC八ヶ岳によく出没しています。
固定観念から開放され、フリーランスへ
タカ 昨年10月まで普通に会社員をしていました。でも会社員がいやでいやで仕方なかったんです。満員電車に乗って会社に行くのも、決められた時間を社内にこもっているのもいやでした。
もともと借金があったので、需要がある、お給料が高い仕事をしてたんです。でも好きではない仕事だったので全然覚えられないし、ミスは多いし。「なぜ自分はこんなことをしてるんだろう」と思っていました。
「ああ、ダメだ、なにもできない」と思っていたとき、YouTubeで「やりたいことの見つけ方」っていう本を紹介している動画を見たんです。
それで「自分にもできることがある」と思えて、別な職業に移ることを考え始めました。
——————————————–
考えた結果、導き出したのがフリーのライターだったそうです。
タイミングよく行われた、ランサーズ主催による2週間のフリーランス合宿に参加。自己分析やフリーランスの働き方を学ぶ中で「もう固定観念に縛られなくてもいいんだ」と思ったそうです。
合宿会場のLAC伊豆下田では、エリナさんをはじめとする利用者の人たちがいきいきとして楽しそうなことに影響を受けました。
そしてフリーライターとして一歩目を踏み出します。
次の一歩へ向けて模索中
タカ フリーライターといっても、経験があったわけではありません。文章を書くことも、それまで特にはしていませんでした。
ただ、学生時代を振り返ると、徹夜でレポートを仕上げるなど、時間を忘れて没頭していたなと。書くことは苦じゃないんだと思いました。
それで書くことを自分のスキルにすれば、お金は稼げると思って始めたんです。
フリーランスになって、LAC八ヶ岳によく行っています。自然が豊かで、サウナがあって、ヤギがいて、空気がきれいで、水がおいしくて。それからお酒もいろいろそろってるんです。
それでどっぷりハマってしまいました。
今後は、大自然の中でお酒を飲みながら癒やされたい、そのことをもっと人に知ってもらいたい。そのためになにかできないかと模索中です。
——————————————–
「新しいことに挑戦するとき、わからないことだらけで不安かもしれないけれど、勢いで突っ走ることが大事」と語るタカさん。
未経験でフリーライターになった実経験に基づく言葉です。
タカさんの新しい働き方は始まったばかり。
ライター兼出張バーテンダーとして、ほかのLACに拠点にも行きながら多拠点生活を送りたいそうです。
参加者からの質問「やりたいことをやるとき、フリーになるとき、経済的な不安は?」
チャットに『やりたいことをやるとき、フリーになるとき、経済的な不安はありませんでしたか?』と質問が来てます。
不安はもちろんありました。でも、私は大学卒業後、新卒でフリーランスになっているので、最悪バイトをすればいいと楽観的でした。バイトだったら絶対受かるという自信もあって。
私が今、独り身だからでもありますが、経済的な不安はあっても気にしていられないって感じでした。
経済的不安はあります。貯金が苦手で、独立したときの残高は20~30万。
ただ私は不安がないと行動につながらないタイプなので、それがよかったのかもしれません。
それに失業保険を開業の準備費にあてられたので、大丈夫という見立てはありました。
でも、この時期までがんばってダメだったらバイトしようと決めてました。
慎重な性格の人は、貯金額を決めたり、副業ベースで一歩目を踏み出したりするといいと思います。
答えになってるかわかりませんが、経済的な不安というよりも現状がいやすぎたので、フリーランスで自分で好きなことをしよう、そこで稼げなくても仕方ないと思ってやってます。
あとはバイトをして、必要最低限のお金を稼げればいいなという感じですね。
「まずはやってみよう!」
最後にゲストのみなさんに一言ずついただいて終わりにしたいと思います。
Living Anywhereなライフスタイルを実現したいと思っている人は、まずはなにかやってみたらいいんじゃないでしょうか。そんな簡単じゃないと思うかもしれないけど、土日に体験してみることもできると思います。
いつでもLAC伊豆下田でお待ちしてます。
やりたいことを考えるのは意外と難しいので、気になることがあればチャレンジしたらいいと思います。「なんか違う」と思ったら消す。合わなかったというのも、ひとつ前進です。
自分らしい生き方につながると思うので、関心があればぜひ一歩踏み出して欲しいです。
僕も昨年までは会社員で、こういった働き方ができるとは思っていませんでした。いろんな方のお話を聞いたりして刺激を受け、「じゃあ、自分もやってみよう」となったんです。
LACは泊まりに行くとわかるんですけど、いる人がみんないい人ばかり。楽しいことをして、キラキラしている人ばかりなので、ぜひ遊びに来てください。
——————————————–
LivingAnywhere Commonsは、場所にとらわれず、もっと自由に自分らしくを実現しようというビジョンを掲げているコミュニティです。この4月からオンラインコミュニティもスタートしました。
コミュニティメンバーになると、オンライン上でいろいろな人と交流できます。またやりたいことを提案すると、実現に向けてメンバーからの応援やサポートを受けられることもあります。
オンラインコミュニティへの参加は無料。
一歩踏み出すきっかけを求めている人は、一度のぞいてみてはいかがでしょうか。
《ライター・タナカアキ》
https://twitter.com/tanacaaaats