今回はじめての開催となるクリエイティブの祭典『CreativeLAB EXPO 2021』。
テーマは「you+」 ~あなたにプラス~です。
大好評だったトークセッションをハイライトでお届けします!
【ゲスト】
里村明洋さん(Adobe常務執行役員)
シモカタセイジさん(クリエイティブディレクター)
【司会進行】
根岸泰之さん(ランサーズCEvO)
目次
アドビは進化し続ける
シモカタさんはクリエイターとして活躍されていますが、クリエイティブツールの進化や変化について感じていることはありますか?
illustratorとphotoshopは20年使っていますが、昔は大変だった切り抜きが今は【被写体を選択】のボタンで簡単にできたりとか、これはCMもしていましたが、今は空が変えられるんですよ。
空が変えられるってどういうことですか?
曇り空を晴れている空と入れ替えることができるんです。
例えばどこかに撮影に行って、残念ながら曇りでしたっていうときにも、空を入れ替えればいいんですね。
そうなんです。
illustratorのトレース機能もどんどん優秀になっています。
ちなみに20年前と今と比べたときに、同じ作業でどのくらい時間の差があるんですか?
僕の体感では300分の1くらいです。(笑)
次はこのように進化を続けているアドビの里村さんにお話を聞いていきます。
最近はクリエイティブの概念が変わってきています。
ツールが進化したことで今まで複雑だった作業が単純になり、ビジネスで効率的に使えるようになってきているんです。
アメリカでは小学校の頃からillustratorを触ったり、クリエイティブなことをするのが当たり前だったりするので、大人になってクリエイティブな活動をしている人がすごく多いし、ビジネスの中でも活用していく人も多いです。
一方日本では、一部の人がクリエイターと呼ばれて神のように崇められているようなイメージがあるじゃないですか。あれってよくないなと思うんですよ。シモカタさんがいらっしゃって恐縮ですが。
僕も同感です。クリエイターと名乗って、すごい人だと思われることにものすごく違和感を感じてます。
『クリエイティブ』は創造力とか創造性っていう意味なんですけど、アドビの社内では最近クリエイティブのことを『創意工夫』って言い始めています。
データを分析してみたり、ドアをちょっと直してみようとか、色を変えてみようとか、創意工夫って生活の中にいっぱいあって、もうすでに皆さんしていると思うんですよね。これが今アドビが考えてる『クリエイティブ』の概念なんです。
アドビのテーマは『Creativity for all』。誰もが自由に自己表現できるツールを提供
アドビのテーマである『Creativity for all』について詳しく話していただきました。
『Creativity for all』を日本語にすると『全ての人につくる力を』と訳せますが
これはつまり、アドビは誰もが自由に自己表現ができるツールを提供しますということです。
幼いときは誰もが創造しますが、アドビの調査では小学3年生頃から創造を徐々にしなくなるという結果が出ています。もっと他にすごい人がいそうとか、見せるのが怖いとか、自分に自信がなくなってくるからだと思います。
それよく聞きますよね。
日本の教育が画一的だとかいう問題はあるとは思いますが、もったいない。
オリジナルなところにはみんなクリエイティブなところを持っているんですよね。
Creativity for all=レベルにあったツールを提供
ピアノを練習して弾けるようになったら、もっと違う曲を弾きたいと思いますよね。
アドビではステップアップしたい時も、次のレベルに対応したツールを提供しています。
例えばビジネスパーソンで考えたときに、3つくらいステップがあります。
◆1つ目は仕事自体の効率をあげていくためのクリエイティブ。
(映像・画像・バナーの小さな変更など)
◆2つ目は自分のスキルアップをキャリアアップにつなげていくクリエイティブ。
(プレゼンテーション・ウェビナーなど)
◆3つ目はクリエイティブを仕事にしていく。
では里村さん自身が今どのあたりと感じられているかというと・・・?
僕はスキルアップのあたりかな。
自分がスキルアップしていると感じますし、クリエイティブを使って仕事ができるレベルまで持っていけたらいいなと思っていたりします。
ここで里村さんが作ったクリエイティブを見せていただくことに。(背景の水滴のようなものが動いています。)
これ里村さんが作られたんですか?!
そうなんですよ。
こんなのどうやってつくるの?って思いません?でもこれはテンプレートを使って一瞬で作れるんですよ。
実際に共有画面で作ってくださいます。(時間にして1分程)
ものすごい簡単でしょ?
簡単すぎました。
もう1つお見せします。
ベートーベンの画像をphotoshopにもってきて、CC(クリエイティブクラウドライブラリー)に画像を入れます。そしたらパワーポイント上でベートーベンの画像が使えるんです。(CCをアドインしておく必要があります。)
ベートーベンの髪があまりにキレイに切り抜かれていることに驚く根岸さん。
ビジネスパーソンでもこのくらいのことが簡単にできるようになっているので、プレゼンテーションをする時や、人と差をつけたいときにぜひ使って欲しいです。
今日のイベントのオープニングもAfter Effectsで作ったんですけど、1時間かかってないんですよ。それくらいすごく簡単にできるようになっています。
そうなんですよ。簡単にできるツールやアセットも増えてきているので、みなさんもやってみたら意外にできちゃうんですよね。
これを知ってるか知らないかが大きいですよね。
このCCライブラリというのがすごく便利です。共有することもできるし、保存してすぐに呼び出すこともできます。すごく便利だけどみんな知らないから今のうちなんですよね。
ツールが便利になればなるほど、ベースやコンセプトを考えることに時間を使えるのでありがたいですね。
今から始めて1年すごく頑張った人と僕とで違いが出るかというと正直変わらないんじゃないかなとすら思います。
ちょっとやりだしたらどんどんやりたくなるんですよね。
そして分からないことがあっても今は検索するとYouTubeとかですぐに出てくるんですよ。
『Adjust till you get it』これは目黒ケイさんというデザイナーの言葉ですが、つまづいた時にすぐにやめてしまうのではなくてAdjust(調整)してみて、しっくりくるところまでやってみることが重要ということなんです。
ぜひこの考え方で、これから始める人もすでに始めている人もやってみてほしいなと思います。
でもいざ始めてみようと思った時に悩むのが契約プランですよね。単体で契約するのか、それとも全てがセットになっているコンプリートプランにするのかが悩みどころです。
僕は最初illustratorとphotoshopだけを購入して使っていましたが、プレミアを新しく使おうとなった時に思い切ってコンプリートプランにしたんですよ。そしたらそこからAfterEffectsやAuditionも使うようになったので、みなさんも最初からコンプリートプランにして色々と試してみるのがいいと思います。
お金の問題ぶっちゃけどうですか?
もし『おもしろそう!』と興味が湧いたとしても、時間だったりお金だったり現実的な問題が出てくるじゃないですか。ぶっちゃけたところシモカタさんはどうなんですか?(投資したお金は回収できていますか?)
ぶっちゃけると、最初はやっぱり怖いんですよ。
大事なことは『こういうことを始めたよ』とか、『こういうもの作ってるよ』と周りに伝えることです。周りに伝えることで、新しい仕事の依頼をいただるようになり、その結果投資分を早く回収できるようになりました。
仕事に繋がっていくということですね。
そうです。そこでかけたお金は自分が諦めなければ回収できると思っています。
プレゼンテーションは少し工夫すると説得力が増す
ビジネスパーソンがプレゼンテーションするときに(里村さんが作られたような)映像をぱっと出したうえで提案したら話早そうですよね。
今までは商談から受注までに3回話をしてたのが1発で終わるというような業務効率化もあると思いました。
全ての人が使った方がいいですよね。
僕もプレゼンテーションするときのグラフは動く状態にして持っていくことが多いです。ちょっと動くだけで引き込まれるので。
あとデザインソフトを使えることでちょっとしたカスタムがきくので、プラスになると感じています。
データでも静止画から少し動くもしくは3D になった瞬間コンバージョン*が上がることがわかっています。
何かプレゼンテーションで見せる時に少し工夫してみることが1歩踏み出すべきところだと思います。
*コンバージョンとは【見込み顧客が商品の購入やサービスの加入等を行うこと】
全ての人が創意工夫できる機能、そしてステップに応じた機能がアドビにはありますが、さらに進化したものがAdobeMAXで発表されるということなのでぜひイベントに参加していただけたらと思います。お二方、視聴いただいた方、本日はどうもありがとうございました。
すでに始めている人もこれからの人も必見!
クリエイターの祭典【AdobeMAX】
2021年10月27日・28日に世界最大規模のオンラインクリエイティブイベントAdobeMAXが開催されます。(渡辺直美さん・佐藤可士和さん他豪華ゲストが出演予定)
このイベントではさらにすごい機能が発表される予定とのことなので、ご興味ある方はぜひ参加してみてくださいね!
日常にクリエイティブを
最後までお読みいただきありがとうございました。
ここまで読まれた方はもうお気づきだと思いますが、ツールの進化によって誰もが簡単にクリエイティブを楽しめるようになってきています。
この秋新しいクリエイティブをあなたにプラスして、人生をより楽しく、より創造的なものにしてみませんか?
《ライター:上嶋かなえ》
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