株式会社日本HP×新しい働き方LABの共同企画「私をつくるクリエイティブ」。
2020年8月に、クリエイターの活動を後押しするコミュニティ「Creative LAB」がスタートしました。Creative LABの発足を記念し、クリエイティブをテーマに開催されたYouTube対談「Creative LAB On Air」を配信しています。
今回のゲストは、株式会社日本HPの田中琢磨さん。副業でマジシャンとして活動していたという経歴の持ち主です。現在も趣味としてマジックを続ける傍ら、カメラの世界にもはまっていらっしゃるという田中さんは、社内で「もっともクリエイティブな人」と呼ばれています。
マジシャンといえば、観客の目の前で次々と摩訶不思議な演出を繰り出して人々を魅了する達人。
そんなマジシャンとして経験のある田中さんとゲストの堂本さん、そして自身をクリエイターと呼ぶナビゲーターのシモカタさんとデザイナーの永井さんの4人により、副業としてのマジックとクリエイティブの関連性について謎解きされていく様子をお届けします。
【ゲスト】
▼田中 琢磨
1973年、神奈川県横浜市生まれ。東京理科大学理工学部物理学科卒業後、1998年4月に株式会社日本HPへ入社。パートナー向け営業を担当する傍ら週末には横浜や川崎、渋谷、新宿の店舗などで副業でマジシャンをしていた経歴の持ち主。現在も趣味としてマジックを続けながら、2012年からは新たな趣味としてカメラの世界へ本格的に参入。自身のウエブサイトで自身が撮影した作品を紹介している。
TAKUMA TANAKA Photograhy:https://www.takumatanaka.com/
▼堂本 秋次
新しい働き方LAB札幌コミュニティマネージャー。Lancer of the year 2016を受賞した、翻訳家・英語学習メンター。マジックは趣味として嗜む。英検1級、単検1級、国連英検A級、TOEIC 965、ESAC®認定 英語学習アドバイザー資格取得。
英語学習のオンラインサロン、Wordsmith Club 創立者。
Twitter:https://twitter.com/Akitsugu_Domoto
ランサーズ:https://www.lancers.jp/profile/AkitsuguDomoto
▼永井 あゆみ
フリーランスデザイナー。WEBデザインをメインに名刺やチラシ等の印刷物の制作も行う。事務職をしながら複業としてWEBデザインの仕事をスタート。現在はフリーのデザイナーとして活躍中。
Twitter:https://twitter.com/ayumin_design
Instagram:https://www.instagram.com/ayumin_design/
ランサーズ:https://www.lancers.jp/profile/miyu–
【ナビゲーター】
▼シモカタセイジ
アパレル→インテリア→事業立ち上げの請負人という職業人キャリアを経て、ブランディングとデザインを中心にクライアントの魅力を引き出すフリーランスとして活躍中。とにかく話を聞くこと、その上でクライアントに寄り添った提案をすること、その提案は相手の期待を上回ることを常に心がけている。
新しい働き方LAB和歌山キャンパスコミュニティマネージャー。
Twitter:https://twitter.com/Kikaku_shitsu
ランサーズ:https://www.lancers.jp/profile/colour_s
マジックってクリエイティブなの?
マジックってめちゃくちゃクリエイティブだと思うんですけど。趣味でやられている田中さんと堂本さんは、自分のことをクリエイティブだと思われますか。
私は特にクリエイティブだと思っていませんね。
知らない人から見たマジックって、結構神秘性があってクリエイティブな感じですよね。でも僕らマジシャンからしたら、ほとんど他のマジシャンのアレンジものや何か別のものをうまく取り入れて演技しているだけだよなっていうのが多かったりするので、全くゼロから新しいことを生み出せるほどクリエイティブかっていうと、そう思うマジシャンって少ないと思いますね。
永井さんに伺いたいんですけど、僕ら通常よく言われるクリエイティブといわれる業界にいますよね。正直自分たちがやっていることは新しいってあんまり思わなくないですか。
思ってないですね。よくありそうなものにちょっとプラスアルファできればいいみたいなところがあるので。
やっぱりアレンジですよね。そう意味でいうとマジックってアレンジじゃないかな。
そうですよね。アレンジが加わっているので、そこでクリエイティブと言っていいんじゃないかなと思います 。
マジック界の”暗い週末”こそクリエイティブ作りには大切な間
私たちが知っている一般的なマジックには、顧客に近い距離で行う小規模のものから、イリュージョンのようなステージ上で行う大規模な仕掛けを使ったものなど、その種類は様々。
店内やローカルイベントなどでよく見かけるマジックの一つに、トランプやコインなど身の回りにあるものを使って顧客とコミュニケーションを取りながら披露されるものを「クロースアップマジック」と言い、田中さんが一番得意なマジックだと語っています。
では、そもそも田中さんがマジックの世界にはまっていったきっかけは何だったのでしょう。
15年前に入社してきた女性社員に、趣味について聞いた答えがマジックだったんですけど、まずそれに驚きましたね。その後、彼女としばらく一緒に営業で回っていたんですが、ある取引先の担当者にマジックバーへ連れて行かれたのが、最初のマジックとの出会いでした。何やってるかわからなかったのですが、前にたまたま本屋で買っていたマジック本で見よう見まねでやり始めたのが、マジシャンとして暗い週末との闘いの始まりでしたね。
わかります。マジシャンって、タネをばれたくないとかじゃなくて鏡の前でブツブツいいながら一人で練習しないといけないですよね。言葉の使い方でお客さんの反応の仕方が変わってくるので。
なるほど。言葉の使い方も重要なんですね。
僕は、マジックの見せ方にクリエイティビティがありそうだなと前から思っていました。たとえタネを1個しか知らなくても、言葉の使い方や見せ方で10個のマジックができてしまう。そこがマジックにおけるクリエイティビティの発揮どころかなと思いますね。
今の話の見せ方や伝え方を考えることって、なんとなく田中さんの営業とも通じるものがあるんじゃないかなと思いますけど。
仕事はきちんと相手に理解をしてもらうような伝え方が大事だと思いますね。営業のやり方は人によってパーソナリティがありますけど、手品の見せ方はいろんな変化を持たせられるので、ちょっとそこが違うかなと。
デザインにおいても、クライアントとのトークやヒアリングとか誘導が大事だったりしますよね。
見せ方や伝え方は、マジックにもクリエイティブにも必要な要素だと4人全員が納得したところで、突然、ナビゲーターのシモカタさんから堂本さんへ、即席マジックのリクエストが!
まじか~すごい!メンタリズムってやつですか。
メンタリズムの定義って難しいですけど。僕はマジックをやるときに、目の前で起こっていることそのものが、お客さんにとってのマジックじゃないと思っているんですよね。お客さん自身がどう感じ何を体験したのかが重要で、そこをどう操作して演出するのかを考えるようにしているので、クリエイティブにも通じるところがあるかなと思いますね 。
やっぱりマジックってクリエイティブですよね。
そうですよね。話し方とか聞いていてそう思います。
ところで、田中さんも堂本さんもしゃべりがとても流暢ですよね。マジシャンって話し方も上手なんじゃないか説が僕の頭の中でよぎってます
必ずしもそうではないと思いますよ。お客さんと直接会話を交わしながらやるマジックと、ステージ上で音楽に合わせてダンスを踊るかのようにやるマジックとでは性質が全く違うので。
僕はマジックをやると営業上手になると思ってます!たとえばクラウドソーシングでクライアントに提案文を送るときに、相手の立場にたって何を求められているのかというところまでを考えてから提案内容を決めるというように、マジシャンも自分の視点とお客さんの視点の両方を持っていないとうまくいかないと思いますよね。
仕事も趣味もモチベーションを持ち続ける秘訣はとことん楽しむ
人の心を一瞬で惹き付けられるマジックは、誰しもが一度はやってみようと思ったことがあるのではないでしょうか。田中さんによるといろいろ試した結果、本を使った覚え方がもっとも初心者にはおすすめだそう。
例えばオンラインや動画など映像で覚えられるものは簡単なようで、実はその人の変な癖までコピーしてしまうため、単なるまねごとになってしまってオリジナル性なくなるのだと言います。
ただし初めから本でマジックを覚えるには、モチベーションを持つことが大事!
この田中さんの発言には、クリエイターであるシモカタさんと永井さんも、本は最初から持つよりも必要なときに辞書やツールとして活用するほうが、読んでいても楽しめるという意見が出ていました。
マジックもクリエイティブも、やりたいことありきで考えるのが楽しいかもしれませんね。
ちなみに田中さんはマジック以外に最近何をされてるんですか?
最近は写真を撮ってますね。10年前に行った、福島への温泉旅行のために一眼レフカメラを買ったのがきっかけで。
今日は田中さんのウエブサイトを日本HPから独自に入手してきたので披露しちゃいます。モノクロでめちゃくちゃかっこいいんですよ。
最初はいろいろ撮ってましたが、ある程度の写真が撮れるようになると、今度は自分の個性の出し方を知りたくなって3年ほど写真教室に通ったんです。これはそのときに撮ったものですね。ちなみにそのときの先生には今でも指導してもらってますよ。
話を聞いていると、田中さんはめちゃくちゃアグレッシブに動かれる方ですよね。
まあ好きなことしかやりませんけど。好きなことは深く入っていくところがあるかもしれませんね。
実際クリエイティブなことや新しいことに挑戦するのに、なかなか勇気を出して一歩踏み出せなかったりモチベーションを保てずに辞めちゃう人が結構多いと思うんですよ。でも田中さんは絶対そうではないですよね。
もちろん失敗もしましたよ。でもどちらかというと自分が好きというか自分の感覚に合っているというか、仕事ではなく趣味でやっているので続けてこれたのかなと思います。
趣味として楽しく続けるのって一つの選択肢ですよね。それを仕事にするかどうかは自分次第で。でもこれだけの写真が撮れたら仕事のオファーがきたりするんじゃないですか。
ここでの写真は僕が撮りたいものだけなので、仕事としては絶対無理ですね。仕事だと自分が作りたいものを作るだけでなく、依頼があってどういう風に相手に伝えるのかも形にしないといけないですし。そういった意味では、皆さんのクリエイティブの仕事と同じではないかなと思いますよ。
興味深い話しですね。ちなみに永井さんは実際デザイナーとして自分が作りたいものを最後に作ったのはいつですか。
最近は自分のポートフォリオを作りをやっていたので、仕事としての割合に作りたいものの時間が含まれてしまってますね。
僕らも正直自分が作りたいものをいつも作っているかというと、多分20個作ったなかに1個あればいいほうかなと思いますよね。それに比べて堂本さんは、ほぼ趣味と仕事がほぼイコールになってる感じが凄いですよね 。
僕はマジシャンではプロではなくセミプロかアマチュアになるので、先ほどシモカタさんに何かやって下さいと言われても「できません」と断れるんですよね。仕事としてやるのか趣味としてやるのか、結局自分が決めた選択肢によると思いますね。
田中さんの写真も、シャッターを切るとかカメラをいじるのが楽しいと思えるので被写体は何でもよくて。そうなるとプロとしてやっていても楽しいですよね。マジックも自分でやりたいマジックと一般的にウケるマジックとでは差があるので、僕はアマチュアのほうが良さそうだなと思って選んだ感じです。翻訳の仕事は、翻訳自体が好きだったから。もし特定の本の作者のファンでそれだけを翻訳するために翻訳者になったのであれば、間違いなくプロでなくアマチュアの翻訳者を選んでいたと思います。
なるほど面白いですね。なんか一つのことに対して楽しくやることを追求していった結果、その行為自体が好きっていうパターンもあれば自分の作り出すこの世界観が好きだというのもありますし。僕のように、逆にそのスキルを徹底的に身につけていって、人の役に立つのが好きって思えるからクリエイティブの仕事が続けられる、とかもあったりするのかなって思いますね。
やはり根本は人の為になるっていうのが一番じゃないですかね。私も手品は見る人に喜んでもらえるのが面白いですし。お客様に喜んでもらうのが一番ではないかなと思いますね。
やっぱりマジックはクリエイティブ!
そろそろお時間になりましたので、最後に一人ずつ感想をお願いします。
今日はたくさんマジックのお話が聞けて楽しかったです。ありがとうございます。
久々にマジックの話ができたのですごい楽しかったです。やっぱそういうことあるよねってこともいくつかあって。ありがとうございます 。
最初に、マジックはクリエイティブじゃないなんて言ってましたけど、皆さんの話しを聞いてて根っこは全部一緒なんだなって自分も喋っててそんな気がしました。何かをチャレンジして初めて作っていくことって、どんなことにも共通しているのかなという思いです。今日はありがとうございます。
今回のトーク内容から、マジシャンもクリエイターも翻訳者も、人に喜びを与えることで自分自身も楽しめるよう、仕事としてか趣味として副業としてかを選ぶこと。
ここにマジックもクリエイティブだ!と、冒頭に出ていた謎の、タネあかしができたのではないでしょうか。
《 ライター:りりから@lilycolor 》
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