【新しい働き方LAB研究員】スランプを乗り越え大好きなイラストを本業にして生きていく。イラストレーター・宮澤美穂さんのマインドを深堀り!

最初の一歩を踏み出して「新しい働き方」に挑戦したい人を応援する、新しい働き方LABの研究員制度。

今回は研究員第一期生として活動する、イラストレーターの宮澤美穂さんにインタビューしました。宮澤さんは「副業として取り組んできたイラストの仕事を本業にしたら、サラリーマン時代の月給を越えられるか」という実験をされています。大好きなイラストを本業にするまでには、10年もの長いスランプがあったそうです。そのスランプを乗り越えて、好きなことを仕事にするまでの道のりについて取材しました。

【宮澤美穂さんプロフィール】
フリーランスとして活動するイラストレーター。神奈川県在住。

幼少期から絵を描いており、将来はイラストレーターになることを目指していた。しかし、学生時代のある出来事により、約10年もの長い間スランプに陥り、絵が描けなくなってしまう。夢を諦めていたが、いくつかの出会いやきっかけがあり、再びイラストレーターへの道を歩み始める。現在は、新しい働き方LAB研究員第一期生として、イラストレーターとしての「新しい働き方」に挑戦中。

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研究員制度で苦手を克服!自信がついて前向きに

――今回の実験の概要について教えてください。

自主企画と、企業の指定企画2つに参加しています。

自主企画は、「フリーランスを本業として開始して、半年でサラリーマンの月収を超えられるか」という実験です。以前は会社員として働きながら、7年くらいは副業でイラストレーターの活動をしていました。

新しい働き方LAB(以下、LAB)の研究員制度に参加するにあたって、あえて月収という形で発表することで、自分を追い込もうと思ったので、このような企画にしました。

指定企画では、アドビ様の企画「クリエイティビティを身に付けると、仕事や働き方にどんな変化が起きるのか」に参加しています。私は長年「クリエイティブ力がない」と思っていたので、それを払拭したくて、この企画に参加しました。

もう1つ、ベネッセコーポレーション様の企画に参加しています。こちらは「Udemyのオンライン講座を受けることで、稼げるスキルが身につくのか」という企画です。

アドビのソフトを高校時代からずっと独学で使ってきたので、指導者からきちんと習って勉強し直したかったというのが参加した理由です。それと、ずっと苦手だったデザインに挑戦してみたかったという思いもありますね。

――高校時代にアドビのソフトを触る機会があったことに驚きました!美術関連の高校だったそうですね。

そうです。高校って「普通科」や「英語科」などがありますが、それの美術版みたいな科ですね。主には絵を描くことが多くて、他には大学受験のためにデッサンをしたり、デザインを学んだりしていました。そこでアドビのソフトを勉強する時間があったんです。

――学生時代から絵を描かれていたのですね。今回の研究の中で、クリエイティブ力を伸ばしたいということでしたが、変化は感じますか?

以前から、自分はデザインセンスがないと思っていたので、ソフトの使い方をUdemyで勉強して、アドビのソフトで広告作りなどをしながら経験を積みました。そうしたら、お褒めの言葉をもらえた時があったんですよ。それで「あ、意外と自分のセンスは悪くないのかも」と、前向きに思えるようになりました。

あとは、ソフトを使うスキルが上がったので、今までは描かなかったような作風にも挑戦できるようになりました。そういう意味でもクリエイティブ力はちょっと上がっているかなと思います。

――今回の研究を始めてから、お仕事の受注状況や案件の内容などに変化は感じますか?

LABに参加してから、プロフィールやポートフォリオを整えました、そのおかげで、私の絵を必要としてくれる方が声をかけてくださったので、受注状況は改善されたかなと思っています。でも、目標にはほど遠い結果だったので、これから結果につながるようにがんばりたいですね。

案件の変化としては、初めてアパレル業界の方からお話をいただきました。今までは主にグラフィックデザイン関係の方から仕事をいただくことが多くて、これからもそういう方向けにやっていこうと思っていたんですね。それが、想定外の業界の方からお話をいただいて、面白いなあと思いました。少しずつ幅が広がっているのかなと思います。

――面白いですね。海外の方に向けても発信するようになったそうですが、何かきっかけがあったのでしょうか?

海外向けの月額制クリエイター支援サービスがあって、何年も前からやりたかったんですね。それは、イラストレーターやアーティストが月額制で支援をしてもらって、そのお礼に会員限定のプレゼントを差し上げるという内容で。クラウドファンディングのアーティスト版のようなものですね。

それが、アメリカのプラットフォームなので、全て英語なんですよ!だからハードルが高くて、躊躇していたんです。

そんな中、去年ビジネススクールで、コンサルタントの方から、私の絵は「海外の人のほうがウケるんじゃないか」という一言を頂いたんですね。それで海外向けに絵を売ってみようと思ったんです。

それからは、Instagram(以下、インスタ)やYouTubeも英語と日本語を併記にして、海外の方にも見てもらえるように発信を始めました。

――そんなきっかけがあったのですね。実際、海外の方の反応はいかがですか?

インスタで海外の方からコメントをいただいたり、イーベイでアメリカの方が絵を買ってくださったりして、徐々に手応えを感じてきました。

 10年もの長いスランプを抜けた先に見えた光

――イラストレーターとして順調に見えますが、実際はスランプの期間が長かったそうですね。こんなに素敵な絵を描かれるのに、今まで自信がもてなかったというのは意外です。

(宮澤さんのスランプについてhttps://note.com/mmiya20/n/n0e358c884c06)

10年くらい。本当になんにも描けなくなっていました。過去を振り返ると、あの時からちゃんと活動していれば、私の絵を見てくれる方が今もっと増えていたんじゃないかなと思います。

――「絵が描けない」とは、どのような感覚なのでしょうか?

私は、5歳の頃から絵を描いているんですよ。会社員時代に実家で、幼稚園の先生全員の似顔絵を描いたという写真を見つけて、自分で衝撃を受けました。それを見て、「ああ、自分はそんなに絵が好きだったんだ」と改めて思って。

小、中学校のときは絵のクラブに入っていて、「将来この道に進むんだ」という気持ちがあったから、高校も美術科に入るぐらい本気だったんです。小学生の大会で賞をもらったり、中学校でも人に褒められたりすることは自然なことだったので、小さい頃は、描けないという状態がなかったんですよね。絵を描いていることが自分にとっては普通なんです。だから、描けない状態がしんどいんですよ。

「会社員の自分は一体何をしているんだ」「普通に考えておかしい」と感じました。絵を描いてない自分・描けない自分は、自分じゃないんですよね。絵を描いていないと、生きている意味がない。これ、アーティストの方には、少ないけどわかってもらえるんですよ。

――そこまで強い想いが…。個人的にアートには触れてこなかったので、どんな気持ちなのか興味があって、理解したいです。

例えばライターだったら、文章を書くのが好きでブログを書いていて、それが急に書けなくなって辛い、というような状態ですかね。

「今まではスラスラ書けていたのに、なぜか一文字も書けなくなっちゃった」「書くことが自分のアイデンティティだったのに、なんで書けないんだろう?」みたいな気持ちと近いかもしれないですね。

――分かりやすいご説明をありがとうございます!ブログの例えをいただいて、理解できました。これまで勤めてきた会社員としての「本業」は、絵とは関係のない仕事だったのでしょうか?

美術短大を卒業した時には、もうすでにスランプだったので、私にはイラストレーターは無理なんだと思って、諦めていました。 

様々な職種を経験して、あるとき経理の仕事に転職したんですけど、それを選んだ理由が、「もう私にはイラストレーターは無理だから、老後のことだけ考えて生きていこう」と思ったからだったんですよ(笑)。だから、老後までやっていける仕事は何かな?と考えて、経理にしました。

思い返してみれば、いかに自分が落ち込んでいたかがわかりますね。もう私には人生がないと思っていました。

――そこまで思いつめてしまったんですね。自信がもてなくて、安全な道を選ぶ方は多い気がします。

「会社員をやりながら、趣味として好きなことをやっていければいい」と思える人や、「自分には無理だったんだな」と納得できる人もいて、それはそれで良いと思う。私の場合は、諦めて納得できる人ではなかったということですね。本当は、本気でやりたかったんだと、ある時に気付きました。

――本当にやりたい気持ちに気付いて、その1歩を踏み出されたのですね。

そうですね。絵を描くことを再開してからは、もう7年半くらいになります。最初は、本業としてやりたいと思っても、なかなか収入に繋がらなかったので、会社員をしながら、ここまで続けてきました。

――過去のご自身にアドバイスができるとしたら、どんな声掛けをされたいですか?

そうですね。言いたいことはたくさんあるんですけど、主には3つ。

1つ目は、褒めてくれる人の言葉をとにかく信じること。

2つ目は本当に大事で、「人は人、自分は自分」と思って、自分のいいところを地道に伸ばせばいいじゃないということですね。

3つ目は、嫌なことを言われたら、ひとりで抱えずに誰かに相談した方がいいと。

――当時は1人で抱え込んで、自分の絵はだめなのかと、思い込んでしまったのですね?

そうですね。基本的に「人は人」って区別する気持ちはなく、相談する相手もいなかったです。でも、勇気を出して誰かに言っていたら、解決したんじゃないかなと思いますね。

宮澤さんの考える「本業」の定義

――会社員を辞めるのって結構勇気がいるんじゃないかなと思ったのですが…

会社員をしていても、「私の本業はイラストレーターだ」っていう意識があるんですよ。

――わぁ、素敵なお考えですね‼

本当にぶっちゃけて言うと、会社員をしながら、「私、こんなことやるために生きてるんじゃないのにな」って思っていました。こんなこと言っちゃっていいのかな…(焦り)

――魂の声ですね。

絵のお仕事をいただけたときは、本当に、それはそれはすごく嬉しくて!

あと、お仕事がいただけなくても、描いていないと生きている感じがしないという気持ちがあります。

――そうなると、もはや本業において大事なのは収入ではなく、自分自身の意識が重要ということですね。

そうですね。意識的、精神的には「絵の仕事が本業」という気持ちです。でも、この道で食べていくことが自分の希望なので、もちろん収入として結果を出したいと思っています。

――本音はそうですよね。宮澤さんの絵に対する想いが強いので、素晴らしい結果につながりそうだと思いました!

大好きなことを本業にして楽しく生きていくためには

――半年間の研究員制度は終了ですが、宮澤さんの活動は続いていくのですよね。この研究を開始してから一年後のご自身は、どんな生活をされていると思いますか?

イラストレーターを本業として、毎日楽しく絵を描いて過ごせていたらいいなと、本当に思います。生活していけるだけの収入を確保できるくらい、たくさん仕事を頂けるようになったら良いですね。

――素敵です。

はい、とにかく仕事が欲しい。(笑)

この半年では予想を大幅に下回った結果だったので、半年後までにはガッツリ結果を出したいですね。

――研究員制度はどんな方におすすめですか?

この制度は、ライター、デザイン、動画編集など、幅広いジャンルの方が参加しているんですよね。自分のやりたい方向が決まっているけど、人脈はないし、営業もしたことないし、どうしたらいいかわからないという状況の方にいいと思います。

方向性が何も決まってないと、期間が半年ある中で、その方向性を決めるのに時間がかかってしまうかなと思うんです。ある程度やりたいものが決まっていて、副業にしたい、もっと広げたい、一歩を踏み出したいという方に良いと思います。

――ありがとうございます。宮澤さんのように「好きなことを仕事にしたい」方に向けてメッセージをお願いします!

本当に好きなことだったら「やりたいけど、怖い」という気持ちがあると思うんですよ。その不安を乗り越える必要がある時がくるので、それをいかに早く済ませるかが大事だと思います。

その自分の課題をできるだけ早めに済ませてしまって、「私は絶対にこの仕事をやっていくんだ」という覚悟をもって、地道に長めに活動した方がいいかなと思います。

――自分の課題と向き合うのって、結構つらいことだから、どうしても先延ばしにしてしまいがちですよね。

そうです。本当に、本当に、好きなことほど怖いんですよ。「うまくいかなかったら…」と、不安がたくさん浮かんでしまって、本当に追い込まれないと乗り越えられないことがあると思うんです。

でも、「私、これしか好きじゃないし!」と、そこは早めに諦めてもらって(笑)できるだけ早い時期から活動出来ていた方が良いと思いますね。自分を振り返ってもそう思います。

――とても素敵なお話が聞けて感動しました。本日はありがとうございました!

《ライター・めぐみ》
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