会社員から、憧れの「海外ノマド」実践者へ!重要なのは、“知識”よりも一歩を踏み出す“勇気”

2023年5月14日

デジタルノマド、アドレスホッパー、そのような言葉が日本に定着する以前から、いち早く実践されていた生粋のノマドワーカー、加茂さん。

現在は、動画クリエイターとして活躍されており、2022年3月まで新しい働き方LABバンコクコミュニティマネージャーをされていた、コミュマネOBでもあります。

現在に至るまでのキャリアや、改めてコミュニティマネージャーを卒業した今、フリーランスにとってコミュニティとはどういう存在か、また加茂さんの今後の展望などについても詳しく話を伺いました。

■□■□ 加茂慧一(かもけいいち)さんのプロフィール■□■□

機械系商社、人材会社、映像制作会社での勤務を経て、2018年8月に独立。現在は、フリーランスとして広告に関わる映像制作や、講師として活動。また、日本や海外など様々な場所でのノマド生活を実践。

Twitter:@eizou_world

どうしたら「海外を旅しながら働けるか」、日々模索していた

ーーまず、現在されている仕事について教えてください。

動画クリエイターとして、広告映像の制作・編集を中心に、映像制作の講師、また自身が運営・管理するブログやSNSで、映像制作や編集に関する情報発信を行っています。

ーー学生時代から、動画制作をしていたんですか?

学生時代は全く動画制作をしていなかったです。当時は就職支援の仕事に興味があって、人材業界を志望していました。ただ、希望していた会社への就職が叶わず、営業職として名古屋にある機械系商社で働きました。商社時代は、タイやマレーシアなどに出張に行くこともありました。

そこで何年か勤めたのち、大阪にある人材系の会社に転職することができ、大学でキャリアセンター職員として働いていました。

ーーそこから、どのようにして動画クリエイターというキャリアにたどり着いたのでしょう?

昔から、海外で働いたり暮らしたりすることに興味があったんです。商社に就職したのも海外に出張できることが理由でした。「無理だろうな」と思いつつも、なんとなく自分の中に秘めていて。

ーー学生時代から、よく海外には遊びにいっていましたか?

高校の時に、交換留学で1ヶ月ほどニュージーランドに行ったくらいですね。ワーキングホリデーを検討していた時期もありましたが、お金や時間などを考えて「無理かな」と諦めていました。

ただ、時間が経つにつれ、海外への想いが強くなって、「海外で働ける仕事ってどういうものがあるのだろう」と調べていたら、本田直之さんの「ノマドライフ」という本に出会いました。その本には、1つの組織や場所に縛られずに、ノマドワークを実践する方法が書かれていたんです。まさに、「これが理想の姿だな」と。

そこからは、ノマド生活を実現するために、プログラミングやブログ、せどりなど、さまざまな方法を試しました。その中でも、Adobe After Effectsで動画編集することが特に楽しいなと思って、動画クリエイターの道に進むことにしました。

ーーその後、どのようにして独立に至るのでしょう?

まずは副業として、独学でAdobe After Effectsのスキルを学び始めました。その後、さらに動画撮影のスキルも学びたいと思い、映像制作会社へ転職しました。

結婚式場のエンディングムービーの制作などがメインでしたが、そこで動画撮影の基礎スキルを習得しつつ、土日や平日の仕事終わりの時間を活かして、引き続き、独学でAdobe After Effectsのスキル学習と実績を積み上げていきました。自分の中で設定していた「4ヶ月連続で月10万円以上を稼ぐ」という目標を達成できたため、2018年8月に独立しました。

「できる」仕事を見極めて、実績を積み上げることが大切

ーーフリーランスになってみて、大変なこと・苦労したことは?

「スキルが足りなかったらどうしよう」という点が不安でしたね。特に、映像制作にかんしてはスキルがないと、ごまかしが効かないんです。

例えば「このシーンで文字を光らせて欲しい」と頼まれたとして、光らせる方法を知らなければ、どうしようもないじゃないですか。

ーースキルで明確に差が出るんですね。そんな中で、どのようにスキルを身につけていきましたか?

オンライン講座などを通して、スキルや知識をインプットしました。ただ、実際に案件を受けないと、スキルが定着しないので、難しいところではありましたが(苦笑)。

ーー特に、駆け出しの頃は、実績を積み上げるまでが大変ですよね。

そうですね。まず実績を作ることは大切ですが、先ほどもお話ししたように、動画制作はスキルが重要で、ごまかしが効きません。そこで、私は確実に実績を積み上げるため、2つの方法を実践しました。1つが受注した仕事が難しくて、納品できなくなるという万が一の事態を避けるために、依頼できる人を見つけておくこと。赤字にはなりますが、お客様からの評価が下がることは避けられますし、極力不安を排除できます。もう1つが受注前に依頼内容をチェックし、先に作り方をリサーチしておくこと。「なんとかできるかも!」と思ったら受注するということをしていました。

海外ノマドに、必ずしも”語学力”はいらない。大切なのは踏み出す勇気

ーー海外ノマドを始めたのは、どのタイミングからですか。

独立して半年経過した頃ですね。そこから、2020年の初めまで、1年弱ほどタイ、ベトナム、カンボジアなどに滞在していました。

ーーなぜ、アジアを選んだのでしょう?

商社にいた頃に、出張でタイに行ったことがあり、そのときに「良いな」と思ったからです。日本と比べると物価も安いし、日本人向けの食事も豊富で、初心者でもハードルが低いと感じたことも大きいですね。

ーー海外に行く前に、英語は勉強していましたか?

よく聞かれますが、英語は勉強してないんですよ。話せなくても、最低限の日常会話ならなんとかなることが多くて。例えば、チェックイン時に「パスポート」という言葉が聞こえたら、パスポートを提示することがわかりますし、「ブレックファースト」と聞こえたら「朝食が出るんだな」と何となく察せますよね。

ーー海外ノマドのメリットや魅力について教えてください。

メリットとしては大きく3つあります。まず1つ目が仕事に集中できることです。英語がわからないと、他の人の話し声が気にならない(笑)。

2つ目が厳選された時間の使い方ができることですね。海外だと、友達や知人もいないので、本当に会いたい人とだけ会えます。

最後の3つ目は、日々のルーティンを保ちつつ、異国感を味わえることですね。国内旅行だと、刺激が多すぎてなかなか仕事に集中できません。海外ノマドでは、ホテルの自室で仕事をしつつも、買い物やご飯を食べに行くだけでも異国気分を味わえて、日々の生活の中で刺激が得られるんです。

ーー反対にデメリットは?

最も大きなデメリットは時間管理ですね。やはり、海外ノマドだと移動が多いので、移動日はなるべく仕事が入らないように調整したり、制作に集中したい期間は移動を控えたりするなど、時間の使い方を工夫することが求められますね。

あと、当時は「家がない」ことを不審がられていましたね(笑)。今は、日本でもアドレスホッパーやデジタルノマドという言葉が浸透してきて、伝わることが増えました。

ーー1日のスケジュールについて教えてください。

基本は、宿やカフェでゆったり仕事をしていますね。滞在中のホテルやゲストハウスの共有スペースが狭かったり、混んでいたりしたら、カフェやコワーキングスペースで仕事をすることもあります。

ーーやはり、仕事といえば通信環境が気になるのですが、日本と比べて快適ですか?

コワーキングスペースは問題なく仕事ができます。カンボジアはインターネット環境が整備されていなくて不安定でしたが、動画視聴くらいであれば、問題なく作動しましたね。

「新しい働き方LAB」は、共に高め合い、支え合える仲間と出会える場所

ーー新しい働き方LABとの出会いについて教えてください。

実は、2019年に行われたLancer of the Yearの映像制作を担当していたんです。そのご縁で、所長の市川さんから、新しい働き方LABの福岡キャンパスの立ち上げの話をいただきました。ただ、その時はちょうどタイに長期滞在する予定があったため、一度お断りしています。

その後、タイに滞在しているときに、あやさんと出会い、新しい働き方LABのバンコクキャンパスの活動を聞きつけ、2019年12月に加入しました。

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ーー2022年3月に、新しい働き方LABのコミュニティマネージャーを卒業されましたね。今振り返ってみて、コミュニティに加入して良かったことはありましたか?

新しいことに挑戦できたことが良かったですね。今までは、動画制作だけでしたが、新しい働き方LABで初めて講師にチャレンジし、自分の新しいスキルや方向性を見つけることができました。また、自分のチャレンジを応援してくれる環境も心地よかったです。

ーーやはりフリーランスは孤独だから、スキルや知識を共に高め合える仲間と出会えるのは貴重ですよね。

そうですね。1人で仕事をしていると、そもそも知らないことがたくさんあるし、また1人だとできることに限界があると思っていて。例えば、私が担当していた「ランサーズブートキャンプ(動画編)」も、私1人だとコンテンツは作れても集客できなかったですね。そこには、本当に感謝をしています。

ーー今後の展望について教えてください。

今後は、クライアントワークもしつつ、自分が心ときめく映像作品を作っていきたいですね。

また、コロナ禍でしばらく日本に滞在していたのですが、今はまた海外ノマドを再開させて、タイと福岡の二拠点生活を送っています。

あとは、語学力を高めたいですね。先ほども話したように、語学力がなくても海外ノマドはできるのですが、料理の注文を間違えたり、英語のコミュニケーションがうまく伝わらなかったりして、悔しい思いをたくさんしてきました。

今は、そのために定期的に英語のレッスンに通っています。ゆくゆくは、英語だけでなくタイ語やスペイン語も勉強したいですね。

ーー最後に、これからフリーランスを目指す方に、一言お願いします。

ハイスペックのパソコンを安く購入できたり、ランサーズやクラウドワークスなど仕事を探すプラットフォームがあったり、Udemyのようなスキルや知識を身に付ける場所があったりと、フリーランスになるための環境やサービスに恵まれている時代です。だから、あとは「やるかどうか」なんですよね。

ただ、なかなか最初の一歩を踏み出すのは難しいですし、そもそもやりたいことや好きなことがないという方も少なくないでしょう。私から1つアドバイスをするとしたら、ライフスタイルから逆算してキャリアを考えてみてください。私は、ブログやプログラミングなど、「海外に滞在しながらできる仕事」に該当する仕事を色々試してみた結果、動画制作という仕事に辿りつきました。

最初から何か1つに固執するのはもったいないです。自分が送りたいライフスタイルを叶えられる手段なら、とにかく恐れずにチャレンジしてみましょう!きっと新しい道が広がるはずです。