フリーランスと聞くと、会社員時代に得た知見やスキルをベースに活動するというイメージがありますが、甲斐田さんのファーストキャリアは保育士。ライターや編集という仕事とは縁もゆかりもない職業でした。

結婚を機に東南アジアに移住して専業主婦となり、時間に余裕ができたころ、「スキマ時間になにかできることはないか、どうせなら趣味ではなく、在宅ワークをやってみよう」そんな思いからはじめたのが、ライターでした。本日は、甲斐田さんがどう未経験からライターとしてキャリアを上げていき、現在に至ったのか、詳しくお話しを伺いました。

■□■□ 甲斐田 礼華(かいだ・あやか)さんのプロフィール■□■□

玉川大学卒業後、幼稚園教諭・保育士として勤務。結婚を機会にシンガポールへ移住し、マレーシア・タイでも生活を送る。当初は専業主婦であったが、ランサーズのライティング案件をきっかけにフリーライターとなる。その後、独学でスキルを磨いて編集者、Webマーケターへとキャリアチェンジ。2021年からはキャリアカウンセラーとして、女性の自立や学生のキャリア教育活動をスタート。2児のステップマザーでもある。Twitter:https://twitter.com/ayakaida

海外駐在の専業主婦が、フリーランスのライター・編集者になったきっかけ

ーー本日はよろしくお願いします。まず、現在されているお仕事について教えてください。

現在は、美容系の記事コンテンツの編集、キャリアカウンセリング、薬事法の広告記事の作成といった仕事をしています。

ーーありがとうございます。フリーランスになるまでの経歴を簡単に教えていただけますか?

玉川大学教育学部の乳幼児発達学科で、Webの仕事とは無縁の保育について学んでいました。卒業後は幼稚園に就職したのですが、人間関係がうまくいかなくて半年で退職することになりました。その後、自宅から近い保育園に転職しました。

そのさなかで、今の夫と知り合うことになって。夫はかねてから海外勤務をしたいという目標がありました。しばらくして、夫は海外勤務のある会社に転職し、シンガポール駐在が決まりました。それがちょうど、2013年4月でした。

ーー2013年といえば、まだまだ海外移住がメジャーではない時期ですよね。かなり、早いタイミングだったんですね。

そうですね。シンガポールの移住を機に結婚を決めて、日本の保育園の仕事も退職し、専業主婦になりました。シンガポールでは、夫、夫の連れ子の3人で生活していました。現地でできる仕事をと思い、日本語教師のアルバイトをしていましたが、ほどなくして妊娠が発覚して体調も崩しやすくなってしまって……。半年でその仕事を退職し、日本で里帰り出産をしました。

ーー結婚、シンガポール移住、出産と激動のキャリアですね……。フリーランスとして仕事を始めるきっかけは?

シンガポールに2年ほど駐在したあと、マレーシアに転勤が決まりました。出産してからは、専業主婦で家にいることが多くて、この時間を使ってなにかできることはないかなと考えるようになりました。趣味もいいけど、せっかくなら実益がともなうことをしようと思い、スキマ時間でできる仕事を探したところ、ランサーズと出会いました。未経験だったので、まずはデータ入力やアンケート回答といった仕事をし、そのあとは小さな記事作成の案件を受けて着実に実績を積み上げていきました。

ーーデザイナー、プログラマなど数ある仕事から、なぜライターを選ばれたのでしょう?

もともと、Facebookに投稿するのが趣味でした。いろいろな人から感動した、泣けたというリアクションをもらえて、やってみてもいいのかなという自信がついたんです。

ーーSNSでの情報発信が自信になったんですね。ランサーズ働き方LABのコミュニティマネージャーに就任したのは、タイに移住してからですよね?どんな経緯で就任したのでしょうか?

そのあと、夫の仕事の都合でタイに転勤することになったんです。タイに来てからは、長女が寮生活になり、今までよりも自分の時間が持てるようになりました。ランサーズを活用して海外でもキャリア形成をした経験もあったので、タイでランサーズハックのセミナーを開催しました。それを、たまたまランサーズの方々に見つけてもらえて。そこでコミュニティマネージャーの話をもらい、就任させていただくことになりました。

未経験から仕事を増やすなら、貪欲に学び、挑戦しよう

ーー未経験から、仕事を増やすコツは?

最初は、スキマ時間でお小遣いが稼げればいいなくらいに思っていたのですが、スキルがついてくると、もっとライターの仕事にチャレンジしたいと思うようになりました。専門性を上げるために、「SEO検定1級」や「日本化粧品検定1級」を取得して、SEOの知識もある美容ライターとしてワンランク上のお仕事を受注できるようになりました。さらに、SEO記事編集、美容系の広告記事の制作、メディアの編集長のお仕事もいただけるようになりました。

ーーもっと、ライターにチャレンジしたいという意識に変わったのは、何か大きなきっかけがあったのでしょうか?

ランサーズ経由で、大型のライティング案件に関わったのがきっかけです。それは未経験者もOKの仕事でした。最終的には、夫にiPhoneをプレゼントできるほど高額な報酬をいただけて、ライターという仕事に可能性を感じたんです。

ーー大きな報酬がもらえると、自信につながりますよね。未経験からフリーランスになるうえで、大切にしていた心構えはありますか?

納期を守る、すぐに返信することを心がけていましたね。ほかにも、ただ書くだけではなくて、リサーチに時間をかけたり、ライティングスキルに関する書籍を読んだり、赤入れを確認したり、マニュアルを見たりして、ライターとしてのイロハを体に染み込ませていきました。

ーーなるほど。”基本に忠実”が大事ということですね。私もライティングを発注することがありますが、意外とマニュアルやフィードバックを読み込んでいる人は少ない気がします。

ライターの方に仕事をお願いすることもありますが、成果物を見たらマニュアルを読んでいるかどうかはひと目でわかりますよね。次の仕事のチャンスにも関わることなので、本当にもったいないなと思います。

長く仕事を続ける秘訣は、自然体を心がけること

ーー今や編集長という立場ですが、未経験からスキルを磨くには様々な苦難や大変なこともあったと思います。特に苦労した経験があれば教えてください。

キャリアアップをすることに集中するあまり、ワーカホリックになっていた時期がありました。家族との時間や家事がおろそかになってしまって、これはまずい!と思ってからは、仕事のボリュームを減らして、プライベートと仕事のバランスを改善しました。

ーープライベートと仕事のバランスは大切ですよね。育児や家事を両立するライフハックがあれば教えてください。

家事はできる限り、タスク化していますね。予想通りに終わらないこともあるので、なるべく、余裕を持ってスケジュールを立てるように意識しています。仕事にも通じることですが、こうでなくてはいけないことはなく、柔軟に自分に合った方法を試せばいいのかなと思いますね。

ーー仕事を長く続ける秘訣はありますか?

仕事中心にしないことですね。人生は変化があって当たり前だと思っていて。前進だけじゃなく、ときにはリストラや案件喪失になることもあります。苦しいときに素直に自分の心の声に耳を傾けることが大事なのかなと思いますね。

ーー今後やってみたいこと、展望について教えてください

今、キャリアチェンジをしようとしている時期で、自分が魅力と感じない仕事は受けないようにしています。今後は、キャリアカウンセリングの仕事に注力したいなと。

「1日8時間働くことが自分にあった働き方なのか?」「そもそも働くとはなにか?」ということにモヤモヤを抱えている人や、「自分にはこれしかないから、他の道なんて選べない」と思い込んでいる人に、自身の経験をとおして、働き方や生き方の選択肢を提供できる仕事ができればいいと思っています。

ーー最後に、フリーランスになりたい、複業をやってみたい読者へメッセージがあればお願いします!

新しいことには不安がともなうから、なかなか一歩踏み出せないと思います。ただ、その不安よりも、夢や期待を信じて一歩踏み出して欲しいですね。もし、そのチャレンジがワクワクしないなら、やめたほうがいいと思います。何事も楽しい気持ちがないと続かないと思うので。頭で考えずに、直感や感覚を信じて行動してみましょう!

ライタープロフィール

取材・文:タワラヤ リュウスケ
東京都出身。新卒で社内失業を経験。25歳で独立し未経験からライターに。採用・地方創生とBtoB向けSEOが専門領域。「旅しながらゆるくかしこく働く」ライフスタイルをSNSやブログで発信。瞬発力より持続力がモットー。

Twitter:https://twitter.com/tawarayaryusuke
運営メディア:https://career-entrance.tokyo/
ブログ:https://orezinal.com/