『新しい働き方LAB』は、ランサーズと全国のフリーランスの共創による、つながり・気づき・学びをコンセプトとしたコミュニティです。2021年5月には個人の新しい働き方を実証実験する研究員制度を発足し、300人を超える第1期生が自分なりの“新しい働き方”に挑戦しています。
先日おこなわれた中間発表会では、大賞やナイスサポート賞など10部門の受賞者が発表されました。今回は、そのなかから“発信王賞”に輝いた吉田深雪さんにインタビュー。発信王賞は、その名の通りTwitterやnoteでの発信を頑張った人に送られる賞です。
吉田さんの研究テーマは『ランサーズでのお仕事GETのロードマップを作る』。あのとき一歩を踏み出して良かったと笑顔で語る吉田さんに、フリーランスになった経緯や研究で得たことなどを伺いました。
※このインタビューは2021年に行われました。
目次
コロナ禍で職を失い、どんな時代も生き抜けるスキルを身につけたいと思った
ーー受賞おめでとうございます!本日は受賞された研究テーマについて、いろいろとお話を聞かせてください。
ありがとうございます!このような機会をいただき、とてもうれしいです。よろしくお願いします。
ーーさっそくですが、吉田さんは今年、23年ほど勤めた会社を辞められたそうですね。どのような経緯でフリーランスになったのでしょうか?
今年の2月まで、パチンコやスロットの遊技機を扱うメーカーで事務員として働いていました。ところがコロナ禍で会社の業績が悪くなり、希望退職者を募ることになったんです。子育て中のため転居を伴う異動がないエリア限定職で働いていたのですが、新人事制度をつくるにあたり、その職種そのものをなくすと伝えられました。
全国展開をしている会社なので、制限がなくなればどの地域に配属されるかわかりません。場合によっては海外の支店に配属される可能性もあるんです。子どもたちを残して単身赴任をするのはどうしても避けたかったので、泣く泣く希望退職に手を挙げることにしました。本当に大好きな職場だったのですが……。
ーーそれは難しい選択でしたね。退職したあと、別の会社に再就職しようとは思わなかったのですか?
最初は再就職を考えました。でも、いざ外に投げ出されたときに「私って何も持ってないや」と思ったんですよね。23年間ずっと同じ職場にいて、事務の仕事しかしてこなかったんです。これといった資格も持っていません。
私は40代半ばなので、退職した当初は「この年齢で今から何ができるんだろう」「そもそも雇ってくれる会社はあるんだろうか」と悲観していました。それから考えに考え、最終的に行き着いたのが「どんな時代も生き抜けるようなスキルを身につけたい」という結論です。
それにはWeb系の仕事がピッタリなのではないかと思い、3月にはWebデザインのスクールに通い始めました。
ーー今までWebデザインを学んだことがあったのですか?
いえ、初めてです。その頃はすでに会社を辞めていたので、今まで働いていた日中の時間をそのまま使ってじっくり学べたのは良かったですね。大変ではありましたが、働きながらスクールに通っている人と比べたら条件的にはとても恵まれていたのではないでしょうか。
未経験・案件ゼロからのスタート。ランサーズブートキャンプへの参加で活動の方向性が明確に
ーー新しい働き方LABの研究員になったのはいつ頃ですか?きっかけとなった出来事があれば教えてください。
きっかけは4月に、新しい働き方LAB主催のオンラインイベント『新しい働き方フェス 2021』に参加したことです。Webデザインのスクールに通い始めて1ヵ月がたつ頃にたまたま見つけたんですが「誰だって 私だって やってみていい」というテーマに惹かれ、軽い気持ちで視聴してみました。
そうしたら配信されているコンテンツがどれも魅力的で。配信を1つずつ夢中で見ているうちに「私も自分の力で、フリーランスとして生きていけるかもしれない」と感じたんです。イベントの最後には研究員第1期生の募集が告知されたので、すぐさま応募しました。
ーーいろいろなタイミングが重なったのですね。ところで吉田さんの研究テーマをよく見ると、“ランサーズでの案件獲得”と“ロードマップの作成”という2つの目標が設定されているようです。これはなぜでしょうか?
最初は未経験・案件ゼロの状態でランサーズに登録し、半年間でどれだけの案件を獲得できるのか検証したいと考えていました。
さらに研究の過程でどのような工夫をしたのか、あるいはどのようなことに取り組んだのかを記録したら、これからフリーランスになりたいと考える人の参考になるのではないかと思い始めたんです。ですので、フリーランスとして働くためのロードマップづくりも目標に追加しました。
ーーなるほど。ランサーズではWebデザインの仕事を獲得していたんですか?
実は違うんです。9月にWebデザインのスクールを卒業したので、最初はWeb制作に関わる仕事をしようと思っていました。ただ、卒業したとはいえ未熟ですから、自分にできることも限られているし、卒業後も学ばなければいけないことがたくさんあるんですよね。
このままでは仕事が取れないかもしれないと不安になって、Webデザインのほかに何かできることはないかなと考えました。そんなときに『ランサーズブートキャンプ』の存在を知ったんです。ランサーズブートキャンプは、ランサーズに登録した人向けに提案文の書き方や仕事の獲得方法などを教えてくれるオンライン講座です。
そこで、自分のなかでもう1つの軸として候補に挙がっていたWebライターについて相談してみました。すると「WebデザインとWebライティングの仕事を同時に獲得するのは、未経験の人にとってはあまり現実的ではありません。どちらか1本に絞りましょう」とアドバイスを受けまして。
実はWebデザインの仕事を得るために、友人の手作り作家さんたちに「ホームページをつくってみない?」と営業をかけていたんです。ですからWebデザインの仕事は知人の紹介で獲得し、ランサーズではWebライターとして活動することに決めました。
Twitterでは毎日“今日の積み上げ”を投稿し、自分で自分のお尻を叩く
ーー研究のためにどのような活動をしていましたか?
ランサーズを中心に獲得できそうな案件を探し、提案するという流れを繰り返していました。それを「提案〇件、獲得〇件、収入〇円」とまとめて、月次報告のような形で月1回noteに投稿していたんです。獲得した案件が増えれば、どのような内容が獲得しやすいのかを検証できるかなと思って。
それとは別にnoteで週報も出していました。1週間の出来事を「今週はこんな進捗がありました」と報告していたので、それをわかりやすくまとめればロードマップになるのではないかと考えています。
ーー吉田さんが受賞した“発信王”は、Twitterやnoteでの発信を頑張った人に送られる賞でしたよね。Twitterでも何か発信していたんですか?
はい。Twitterでは毎日、“今日の積み上げ”を投稿していました。研究員になってすぐ、自分の研究している内容をTwitterで発信しようと目標を立てたんです。でも、それまで私はTwitterをやっていなかったので、何を発信したら良いのかわからず悩みましたね。
人の役に立つような大層なことはつぶやけないから、それなら「今日はこれをやります」と宣言しようと思ったんです。そうすれば自分の発言に責任感が生まれて、自分のお尻を叩くことになりますし(笑)。心のなかで「これをやろう」と思っているだけだったら、何もしないままだったかもしれません。
ーー周りに宣言するって大切ですよね。
そう思います。実は最初、フリーランスになりたいとは周りに言ってなかったんですよ。正直なところ、口に出したのにフリーランスになれなかったらカッコ悪いなと思う気持ちがありました。でも今日の積み上げをツイート→クリアというのを繰り返しているうちに、フリーランスになりたいって言葉にしなければ、思いを実現できないんじゃないかと感じ始めたんです。
最初はランサーズでコッソリと提案し続けていたのですが、Twitterで「ライターになります」と宣言したことで自分の意識も変わりました。それまで誰かの前向きな発信に刺激を受けることはありましたが、自分が発信する側になっても学びがあるとわかったのは新しい発見です。
案件ゼロの状態から3つの継続案件を獲得。仲間がいたから最後まで頑張れた
ーー半年間の研究で苦労したことはありますか?
最初の3ヵ月は提案をしてもまったく通らない状態だったので、1件目を獲得するまでがとても大変だったんです。でもランサーズブートキャンプに参加したおかげで、少しずつ案件を獲得できるようになりました。それから一生懸命に記事を書いていたら「とても良いお仕事をされるので、できれば継続でお願いできませんか?」と声をかけてもらえるようになったんです。
ーーそれはすごいですね!仕事をするにあたり、心がけたことはありますか?
ただ仕事をすれば良いというわけではなく、人と人とのつながりがあってこそ仕事は成立するものだと思っています。仕事の依頼を受けるにしても、質問をするにしても、相手とのやり取りが必ず発生しますから。「人とのつながりのなかで仕事をさせてもらっているんだ」という意識で執筆に取り組んだおかげか、今では3つの継続案件を受注できています。ついに、ランサーズでの最上位ランクである認定ランサーにもなれたんですよ。
ーー着々と成果を上げられていますね!研究で「つらいな」と思ったときに支えられたものはありますか?
研究員の仲間ですね。先ほどもお話ししたように、初めの頃はまったく自分の思い通りにならならなくて。noteに「うまく進めない」と書いては現状を嘆いていました。それを見た第1期生のみんなが「実は私もそうなんだよね」と共感してくれたり「大丈夫だよ」と励ましてくれたりしたんです。1人だったら諦めていたかもしれないけれど、みんなのおかげで最後まで頑張れました。仲間って良いなとあらためて思いましたね。
研究員制度での出会いや学びが、これから私が進む道につながっていくのだと実感
ーー新しい働き方LABに入って良かったと思うことはありますか?
やはり仲間に出会えたことが大きいです。Slackがコミュニケーションの場なのですが、自主的に部活を立ち上げて活発に交流していました。例えば部員同士でデザインの情報を共有したり、もくもくと作業することを宣言したりして、思い思いに楽しんでいます。Twitterでもやり取りをしているので、そうした研究員とのコミュニケーションが楽しくて仕方ないですね。
それだけでなく、研究員限定のイベントや勉強会も頻繁に開催されていて、成長できる機会が多いところも良かったです。
ーー運営さんのサポートはどうですか?
私たちが研究活動をしやすいように、手厚くサポートしてくれました。運営さんは「研究といっても実験なんだから、うまくいかなくても良いんだよ」というスタンスなんです。だから、なかなか研究が進まないときには救われる思いでした。
またTwitterで「これはどうしたら良いんだろう?」とつぶやいたら、運営メンバーの方がすぐに声をかけてくれたこともあります。そうしたときには、きちんと一人ひとりを見てくれているんだなと安心感を覚えました。
ーーそれでは最後に、研究員制度に興味を持っている人にメッセージをお願いします。
「何か新しいことを始めたいな」「今までとは違うことをしてみたいな」と思っている人には、研究員はピッタリな制度です。当時の私は明確な目標もないまま研究員制度に申し込みましたが、あのとき一歩を踏み出せて本当に良かったと思います。
たくさん学ばせてもらったし、あのまま会社員として働いていたら絶対に知り合わないような人たちとも交流できました。それが今後、私が進む道につながっていくのだと実感しています。研究員制度に興味を持った人は、ぜひ新しい働き方LABをチェックしてみてほしいですね。
《ライター・山本洋子》